昼の港を夜へ描き直し、場所より青と金の響きを前面に出した。
何が描かれているか
青い夕闇に沈む湾へ、帆を下ろした船の影が浮かぶ。遠い丘と岸は暗い帯になり、水面には小さな金色の灯が点在する。船や建物の細部は霞み、水平線もはっきり区切られない。
縦長の画面の大部分を空と水が占める。中央付近の船影、岸の灯、薄い雲だけが位置を示し、鑑賞者は正確な港の地図より、日が消えた直後の光をたどることになる。
作品の見どころ
深い青を一様に塗らず、緑、灰色、紫を含む薄い層として重ねる。そこへ金色の小点を置くと、船の灯と反射が同時に見え、暗い面の広さが強く感じられる。
形を省いた画面は未完成に見えるかもしれない。しかし情報を減らすことで、船を数える見方から、青の濃淡と光の間隔を感じる見方へ移す。「ノクターン」という題名がその読み方を促す。
制作背景
スミソニアン国立アジア美術館は1866年頃に始まり、1874年頃まで手が加えられた作品とする。ホイッスラーは1866年、スペインとチリの戦争期にバルパライソを訪れた。
技術調査から、画面は明るい昼景として始まり、後に夜景へ作り直されたと説明される。旅先の記録をそのまま残すより、時間をかけて青と金の調和へ変えた点がノクターンの成立を示す。
作品情報
所蔵
スミソニアン国立アジア美術館(フリーア美術館)
位置づけ
昼の港として始めた画面を夜景へ作り直し、場所の説明より青と金の響きを重視した。
出典・画像について
画像:James McNeill Whistler《青と金のノクターン―バルパライソ》/青と金のノクターン―バルパライソ — James McNeill Whistler / Wikimedia Commons
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