何が描かれているか
野原の手前で、年配の女性が腰を下ろしている。少し離れたところには草地で働く人々が小さく見える。題名は《日々の糧》。食事を運ぶ人物を大きく描くことで、遠くの労働と手前の休息を一つの場面につないだ。人物だけを見ず、奥へ伸びる草の道を追うと、暮らしの場所が広がっていく。
作品の見どころ
緑の草は細かな葉の集まりとして描かれ、明るい空と暗い地面の間に奥行きが生まれる。白い頭巾と服の光は、女性の顔や手を見つける手掛かりになる。水彩は水で薄めた絵具を紙に重ねる技法で、ここでは草の柔らかさと人物の重みを同時に伝える。遠景がかすむほど、手前の女性の存在が近く感じられる。
制作背景
国立美術館は1886年の水彩画と記録する。画家は美術館から「祖国的な」題材を勧められ、故郷ダーラナの人々をモデルにした。手前の女性は画家の祖母で、ほかの人物も親族だという。ただし衣装は当時のままを写した記録ではなく、子ども時代の記憶を思わせる古い服を着せたものだ。現実の観察と記憶の構成が重なる作品である。
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この画家について本で読む
Anders Zorn: A European Artist Seduces America
Oliver Tostmann 編 / Paul Holberton Publishing
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