何が描かれているか
室内で若い女性が紙を広げ、文字を追っている。画家の妻エンマである。顔を正面から見せる肖像とは違い、彼女は読むことに集中し、こちらに気づかない。白い紙が画面でいちばん明るく、そこから顔、手、縞模様の服へ視線が移る。静かな日常を、何かの出来事を待つ場面にせず、そのまま描いた。
作品の見どころ
背景の茶色や灰色に対して、紙の白はわずかに暖かい。エンマの顔には横から光が当たり、手の位置から紙を持つ重さも伝わる。細部を全て同じ強さで描かず、目を留めたい場所に明暗を集めている。水彩で名を知られた画家が油彩に取り組み始めた時期の絵として、紙と布の質感をどう描き分けたかにも注目したい。
制作背景
ソーン美術館は1887年作の油彩画とし、夫妻が英国セント・アイヴスに滞在した1887~88年の冬に結び付けて説明する。画面上部のラテン語はエンマの当時の年齢を示す。美術館は、新聞を読む妻の姿を画家が身近に見ていたことにも触れる。公的な注文肖像ではなく、生活を共にする人の自然な姿をとらえた作品である。
アフィリエイトリンク|このリンクから購入されると、運営者に報酬が入ることがあります。
この画家について本で読む
Anders Zorn: A European Artist Seduces America
Oliver Tostmann 編 / Paul Holberton Publishing
国際的に活動したソーンの絵画と版画を扱う展覧会図録。英語の洋書です。
楽天ブックスで見る →