ヴェネツィアの小舟から、漕ぎ手の背中越しに水路を見ている。
何が描かれているか
ヴェネツィアの小舟から、漕ぎ手の背中越しに水路を見ている。男の肩と腕は大きく手前にあり、遠くの建物や別の舟は霞んでいる。観光名所を正面から並べた絵ではなく、舟が進む位置そのものを画面にした。見る人も同じ舟に乗っているように、男の体をよけて運河の奥へ目を向ける。
作品の見どころ
白い袖、赤い布、緑の帽子が手前を明るくし、水面には青と緑が細かく揺れる。建物の輪郭は遠いほど弱く、空と水がつながる。速い筆づかいは偶然に見えても、舟縁の斜線と漕ぎ手の姿勢が視線を奥へ導く。大きく切られた背中があるからこそ、広い水路の明るさが際立つ。細部より舟の進む感覚が先に届く。
制作背景
ソーン美術館は1894年、画家夫妻が収集家イザベラ・スチュワート・ガードナー夫妻に招かれてヴェネツィアを訪れた時の作品と記す。エンマがゴンドラの漕ぎ手に魅了されたという画家の回想も紹介する。写真のような偶然の一瞬に見えるが、同館は構図が意識的に組み立てられたと説明する。
出典・画像について
画像:Anders Zorn《私のゴンドラ》/Wikimedia Commons
Wikimedia Commons。パブリックドメイン表示(法域による留保あり)。
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この画家について本で読む
Anders Zorn: A European Artist Seduces America
Oliver Tostmann 編 / Paul Holberton Publishing
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