何が描かれているか
夜会の一角で男女が体を寄せ、ワルツを踊っている。これは油絵をもとにしたエッチングで、金属板に刻んだ線から紙へ刷る版画である。人物の顔をすべて見せず、重なる体と暗い室内で踊りの近さを表した。手前の二人から奥の人影へ目を移すと、人が多い会場の一瞬が伝わる。
作品の見どころ
細い線が集中する場所は黒く沈み、紙の白が残る場所は光を帯びる。服のひだや髪も線の向きで変わるため、色がなくても身体の回転が感じられる。余白を残した周囲の紙と、密な線の画面の差にも注目したい。油彩の絵筆とは違う道具でも、ソーンは動く人物とその場の明暗を捉えている。
制作背景
ソーン美術館によれば、元になった油絵はパリの社交界の踊りを描き、米国の収集家に売られた。画家は混んだ舞踏室より、少し離れた場所で踊る人々を見せようとしたという。この版画は1891年の作で、ワシントンのナショナル・ギャラリーに同題の一枚が収蔵される。油彩と版画の違いを意識して見ると、線で場面を再構成した工夫が分かる。
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この画家について本で読む
Anders Zorn: A European Artist Seduces America
Oliver Tostmann 編 / Paul Holberton Publishing
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