何が描かれているか
大きな十字架の中央で、キリストの身体が弓のように曲がる。上には翼を広げた天使が飛び、地上では左右の群衆が中央へ顔を向ける。左のマグダラのマリアは両腕を伸ばし、十字架の下には祈る聖フランチェスコがいる。
アッシジの聖フランチェスコ聖堂の上堂にある壁画である。上堂は二層の聖堂の上階を指す。板に描いた十字架像と違い、受難を見守る人々まで一つの広い場面に組み込まれている。
作品の見どころ
天使の衣、群衆の腕、キリストの傾いた胴体を順にたどりたい。翼や手の斜めの線が重なり、離れた場所にいる人物を結びつける。この線のつながりは、周囲へ広がる悲しみを読み取る手がかりになる。
身体の大きさと群衆の密集にも注目したい。十字架を囲む空間は広いが、人々の手と視線によって中央へ引き寄せられる。
制作背景
チマブーエと工房が手がけた上堂の装飾の一部で、南翼廊に位置する。制作年代には異説があり、一年に確定しない。
顔や衣が暗く見えるのは、白い顔料である鉛白の変化を含む保存状態による。失われた彩色も多い。現在の明暗を、そのまま当初の配色として読まないことが大切である。