何が描かれているか
聖母が玉座に座り、幼子キリストを膝に抱く。四人の天使が左右から玉座へ手を添え、右には修道士の衣を着た聖フランチェスコが立つ。荘厳の聖母とは、聖母子を堂々とした玉座の上に示す形式をいう。
聖人は本を抱え、傷のある手を胸に置く。この傷は、キリストの受難に対応する傷として表される「聖痕」である。聖母子と天使の集まりに、聖堂にゆかりのある聖人が加わる。
作品の見どころ
天使の顔の傾きと、玉座へ伸びる指を見比べたい。左右に二人ずついるが、全員が同じ姿勢ではない。手前の天使の身体が玉座に重なり、青い背景の前に人物の奥行きをつくる。
一方、フランチェスコは少し離れて正面を向く。飾りの多い玉座と質素な修道服の対照が目を引く。聖人の細い顔や裸足をたどると、天使とは異なる人の存在が浮かび上がる。
制作背景
聖堂の下階にあたる下堂の壁画で、チマブーエと工房の仕事として扱われる。制作年代には異説があり、ここでは13世紀後半の作品として紹介する。
2023年に始まった保存修復を経て、2024年2月に公開された。掲載画像は修復後と説明される複製である。以前の写真と見比べる際は、保存状態の違いにも注意したい。