1280年頃
年齢不詳

キリストの鞭打ち

画家 チマブーエ
The Flagellation of Christ / フリック・コレクション(ニューヨーク)
左右から迫る動作を、中央のキリストへ集めた。

何が描かれているか

細い柱に結ばれたキリストが中央に立ち、左右の人物が鞭を振り上げる。三人は狭い建物の前に置かれ、互いの腕と鞭の向きが中央へ集まる。受難の一場面を、少ない人物と明快な動作で読ませる。
キリストは激しく動かず、両側の人物の動きがかえってその静けさを強める。苦痛を誇張した顔ではなく、向かってくる手と鞭によって、今起きていることを示す。

作品の見どころ

背景の建物は柱や屋根で囲まれるが、現実の一室を正確に写したものではない。縦の柱と斜めの屋根が人物の位置を区切り、目を中央へ戻す。金地と建築の組み合わせが、物語の場所を最低限に伝える。
人物の衣の色を見比べると、中央の明るい身体と両側の濃い衣が際立つ。画面の左右は釣り合っているが、腕の高さや足の置き方は同じではない。

制作背景

フリック・コレクションは1280年頃の作品として紹介し、チマブーエへの帰属と、ロンドンの《二天使を伴う聖母子せいぼし》との関係を説明する。小さな板絵の一部として作られたと考えられるが、元の全体像は残っていない。
画面の周りに別の場面が続いたと想像すると、ここだけで完結する大祭壇画さいだんがとは違う読み方になる。

作品情報

材質・技法
テンペラ・金、板
所蔵
フリック・コレクション(ニューヨーク)
位置づけ
左右から迫る動作を、中央のキリストへ集めた。

出典・画像について

出典:www.frick.org 公式記録2026-09-23 確認)
画像:Cimabueキリストの鞭打ち》/キリストの鞭打ち — Cimabue / Wikimedia Commons
画像の出典 / Public Domain Mark(画像情報:2026-09-23 確認)
間違いを見つけたら、教えてください →
アフィリエイトリンク|このリンクから購入されると、運営者に報酬が入ることがあります。

この画家について本で読む

いちばん親切な 西洋美術史
池上英洋/川口清香/荒井咲紀 著 / 新星出版社
中世から現代へ続く西洋美術を大きな図版とやさしい説明でたどる入門書。チマブーエの作品を、その前後の時代とともに考えるための一冊です。
楽天ブックスで見る →