何が描かれているか
画面いっぱいに猫の顔があり、その額の中央へ小さな鳥が描かれる。猫の両目は鳥の位置へ向き、鼻の先は赤いハートの形をしている。
猫と鳥は同じ空間にいるのではなく、鳥が猫の頭の中に浮かぶように置かれる。外に見える獲物と内側の欲望を、遠近法を使わず一つの表面へ重ねた。
作品の見どころ
大きな三角の耳、楕円の目、小さな鳥という単純な形をたどると、子どもの絵のような分かりやすさがある。しかし集中した目と赤い鼻によって、穏やかさと捕食の緊張が残る。
黄褐色から桃色、青緑へ限られた色が静かな雰囲気を作る。鳥を目立つ反対色にせず、猫の顔の一部へ溶け込ませたため、考えている内容が皮膚に現れたように見える。
制作背景
1928年制作。MoMAの解説では、クレーが子どもの絵に創造性の源を見いだし、線と形をそれ自体のために使おうとした姿勢と結びつけて説明される。
これは猫の行動を写した動物画ではない。目に見える姿より、頭の中の想像、食欲、注意を描くため、鳥を額へ置く。具象的な題材と抽象的な構成が無理なく重なる代表例である。