1940年
60〜61歳頃

死と火

画家 パウル・クレー →
Tod und Feuer / ツェントルム・パウル・クレー
白い顔と燃えるような色、文字にもなる黒い線。最後の年の作品を、形から読み解きます。

何が描かれているか

黄や橙、赤みを帯びた地の上に、白い大きな顔が浮かんでいます。目や鼻、口は太い黒線で表され、左上には円、右側には人を思わせる細長い形が見えます。顔の線は独立した記号のようでもあり、背景の熱を感じさせる色と対照をなしています。粗い布の表面も残り、形の単純さと絵具の質感を同時に見ることができます。

作品の見どころ

所蔵館は、顔の中の線から、ドイツ語で死を意味する「Tod」の文字を読み取れると説明しています。鼻や目として見た線を、文字としてもう一度見ると、同じ形が違う意味を持ち始めます。白い顔は仮面にも、頭蓋骨にも感じられますが、クレーの自画像だと決めつけることはできません。題名、線、文字が重なり、見る順序によって印象が変わるところが見どころです。

制作背景

1940年、クレーが亡くなった年の作品です。所蔵館は、6月29日の死の前に完成した最晩年の絵画の一つと位置づけています。公式展覧会資料には、油絵具と糊絵具を用いた黄麻布の複雑な支持体も記録されています。晩年の制作を、病気の説明だけに還元せず、簡潔な形と素材の組合せから見る入口です。

作品情報

材質・技法
油彩ゆさい・糊絵具、黄麻布(二枚目の黄麻布に重ねて支持)
所蔵・寄託
ツェントルム・パウル・クレー
目録番号
1940, 332

出典・画像について

画像:パウル・クレー《死と火》/Commons掲載の忠実な複製(撮影者の記載なし)
画像の出典 / Public Domain(地域条件あり) / 画像の出典・条件(画像情報:2026-09-28 確認)
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