何が描かれているか
暗い画面に魚、花、人物、時計塔、星のような形が浮かぶ。水中、庭、夜空の要素が同じ場所にあり、現実の上下や大きさの関係は保たれていない。
中央付近には四角い布が貼られ、その輪郭も構図へ取り込まれる。背景の黒は一様でなく、下に塗った色を引っかいて出した線や形によって奥行きが変化する。
作品の見どころ
魚を追って横へ進むと花や人物に出会い、上へ進むと時計塔と星へ移る。どこが水面かを決められないため、視線が分類を失いながら画面を漂う。
フィラデルフィア美術館の解説によれば、黒い上層を引っかき、下の色を見せる技法が使われた。暗闇に色を足すのではなく、覆いを削って光を発見するような見え方になる。
制作背景
1925年、クレーがデッサウのバウハウスで教え始める頃の作品である。題名の「魔術」は特定の神話を示さず、通常は別々の世界に属するものが一画面で共存する状態を表す。
技法には油彩、水彩、カンヴァス、板、貼り付けた布が組み合わされる。単純な子どもの絵のように見える形の背後に、層を塗り、削り、貼る複雑な制作がある。