町の姿が、透ける色の面へ変わり始めます。チュニジア旅行での色彩の発見をたどります。
何が描かれているか
画面の上部に、塔のある建物と庭の緑が見えます。その下には桃色や赤、淡い緑の面が広がり、町を見渡す景色と、色の組合せによる抽象的な画面が同居しています。建物は細部まで描き込まれず、簡単な輪郭や色のかたまりとして置かれています。紙の明るさを透かす水彩が、風景全体を軽やかに見せています。
作品の見どころ
上から下へ視線を移すと、建物として読み取れた形が、四角や三角の色面へと変わっていきます。何が描かれているかを当てるだけでなく、隣り合う色の違いや重なりにも注目してみてください。現実の町を出発点にしながら、見えた形と色を画面の中で組み直す、その途中のような風景を楽しめます。
制作背景
クレーは1914年4月にチュニジアを旅し、14日にハマメットを訪れました。所蔵館は、城壁の外から描かれた眺めとして本作を説明しています。以前からのロベール・ドローネーの色彩への関心と、旅行中の経験が重なった時期の作品です。風景の写生と、色そのものを主役にする表現の結びつきを見ることができます。
出典・画像について
画像:パウル・クレー《ハマメットのモスク》/メトロポリタン美術館(Commons寄贈画像)
Commons個別ページのPublic domain / PD-Art表示に基づく忠実な複製。 外側の撮影背景のみ透過し、作品の台紙と書込みを残しています。
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この画家について本で読む
パウル・クレー作品集 詩と絵画の庭
黒田 和士 著 / 東京美術
物語、前衛、バウハウス、自然、文字など6つの視点から約140点を大判で見られる作品集です。
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