甘く苦い島(インスラ・ドゥルカマラ)
画家 パウル・クレー →Insula dulcamara / ツェントルム・パウル・クレー
柔らかな色の上を、太い黒線が巡ります。顔や島にも見える形を、決めつけずにたどります。
何が描かれているか
横長の画面に、淡い黄、緑、青、桃色などが広がっています。その上を太い黒線が曲がり、中央には目や口を備えた顔のような形も見えます。線は輪郭を閉じるだけでなく、画面の端へ伸びたり、別の形へつながったりしています。
作品の見どころ
黒い線をたどると、島の海岸、植物、人の姿など、いくつもの対象が思い浮かびます。しかし、どの線も一つの物を写した輪郭としては決まり切っていません。背景の色と黒線を別々に見たり、合わせて見たりしてみてください。淡い色の穏やかさと、強い線の緊張が同居しています。題名の「甘い」と「苦い」という対照も、この印象を考える手掛かりになります。
制作背景
1938年の作品で、縦88センチ、横176センチの大きな画面です。所蔵館は、クレーの作品の中で面積が最大と紹介しています。支持体には黄麻布に貼った印刷済みの新聞紙を使い、油絵具と糊絵具で描いています。ラテン語の題名は甘さと苦さを結びつけたものです。具体的な風景の説明にとどまらず、素材、線、色、言葉の組合せへ目を向けられる晩年の代表作です。
作品情報
材質・技法
油彩・糊絵具、新聞紙(黄麻布に貼付)
出典・画像について
画像:パウル・クレー《甘く苦い島(インスラ・ドゥルカマラ)》/Commons掲載の忠実な複製(撮影者の記載なし)
Commons個別ページのPublic domain / PD-Art表示に基づく忠実な複製。
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この画家について本で読む
パウル・クレー作品集 詩と絵画の庭
黒田 和士 著 / 東京美術
物語、前衛、バウハウス、自然、文字など6つの視点から約140点を大判で見られる作品集です。
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