カイルアン、門の前
画家 パウル・クレー →Kairuan, vor dem Thor / ストックホルム近代美術館(Moderna Museet)
町と風景が、重なり合う小さな色面に。旅行中の観察が抽象へつながる一枚です。
何が描かれているか
淡い色の四角形や不規則な色面が、横長の画面いっぱいに重なっています。遠くの建物を思わせる形もありますが、窓や屋根の細部ははっきり描かれていません。赤みのある色と青や緑が隣り合い、場所によって水彩の濃さも変わります。題名にある門の前の景色を、色と線でまとめ直したような画面です。
作品の見どころ
一つずつの形を建物に見立てると町並みに感じられ、色の面として見ると幾何学的な模様にも見えてきます。透けた絵具の重なりや、淡い部分と濃い部分の違いをたどると、奥行きも感じられます。具体的な景色と抽象的な構成の間を行き来するところに、クレーの風景画の面白さがあります。細部を数えるより、色のつながりを追ってみてください。
制作背景
1914年のチュニジア旅行の時期に描かれた作品です。所蔵館は水彩と鉛筆による紙作品として記録し、支持体に残る題名と「1914 72」の書込みも紹介しています。同年の《ハマメットのモスク》と並べると、塔や庭を読み取りやすい風景から、色面の組合せを中心とする画面への変化を比べられます。後の抽象表現につながる初期の色彩実験です。
作品情報
所蔵・寄託
ストックホルム近代美術館(Moderna Museet)
出典・画像について
画像:パウル・クレー《カイルアン、門の前》/Commons掲載の忠実な複製(撮影者の記載なし)
Commons個別ページのPublic domain / PD-Art表示に基づく忠実な複製。
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この画家について本で読む
パウル・クレー作品集 詩と絵画の庭
黒田 和士 著 / 東京美術
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