何が描かれているか
円に近い顔が、赤、橙、黄、白などの幾何学的な区画へ分かれる。左右の目は高さと向きがわずかにずれ、口と鼻は短い線で簡潔に示される。
顔は人の肖像、仮面、舞台の道化のどれにも見える。背景と輪郭の色が近いため、頭部は物体として前へ出る一方、平らな色面の組み合わせにも戻る。
作品の見どころ
左右対称に見える顔をよく比べると、色、目、眉の位置が一致しない。単純な形の反復に小さなずれを入れ、静止した顔へ揺れと表情を生んでいる。
遠くからは一つの顔、近くでは色の区画として見える。具象と抽象を別々の作品に分けず、見る距離によって行き来させる点がクレーらしい。
制作背景
1922年、バウハウス時代の作品。バーゼル市立美術館は、題名を植物のセネキオ属と「老い」に関係する語の遊びとして説明し、1931年に収蔵したと記録している。
日本語では《セネキオ》のほか《老いた道化師》などの題で紹介されることがある。ただし特定の人物の老年肖像と断定せず、植物名、老い、仮面の連想が重なる題名として扱う。