橋のアーチが列を離れ、歩き出すように並びます。建築の形が人物に見える晩年の一作です。
何が描かれているか
灰色がかった背景の上に、赤や黄色のアーチ形が並んでいます。橋なら横につながるはずの部分が切り離され、一つずつ前後にずれて立っています。下へ伸びる柱は脚のようで、同じ方向へ歩く人々にも見えてきます。大きさや色、柱の長さはそろわず、安定した建築が動き始めたような不思議な画面です。
作品の見どころ
橋の形を一つの集団として見ると、整列して進む行進にも、それぞれが列から離れる動きにも感じられます。所蔵館の解説も、軍隊の不吉な足並みと、個々の存在の立ち上がりという複数の読み方を示しています。どちらか一つの意味へ決めつけず、色や間隔の違いを比べてみてください。形の反復の中に、そろう動きとそろわない動きが共存しています。
制作背景
スイスへの亡命後、1937年に描かれた作品です。ハンブルク美術館は、準備段階では橋の周囲に人や動物を描いていたのに対し、完成作では形と色の象徴的な力へ集中したと説明しています。晩年のクレーが、細かな物語を省いて簡潔な形に表現を託した例です。少ない要素で建築、人物、集団の動きを重ねる工夫を見ることができます。
出典・画像について
画像:パウル・クレー《高架橋の革命》/Commons掲載の忠実な複製(撮影者の記載なし)
Commons個別ページのPublic domain / PD-Art表示に基づく忠実な複製。
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この画家について本で読む
パウル・クレー作品集 詩と絵画の庭
黒田 和士 著 / 東京美術
物語、前衛、バウハウス、自然、文字など6つの視点から約140点を大判で見られる作品集です。
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