戦場を埋めた画家が、今度は一人の祈りのために。小さな三連画の足元に、修道女がひざまずいています。
何が描かれているか
中央の十字架の下には聖母や聖ヨハネ、手前には長い髪を垂らすマグダラのマリアと、小さく描かれた修道女がいます。左右の翼には受胎告知の天使とマリア、聖女や聖母子。扉を備えた三連画の全体です。
作品の見どころ
人物は金色の地から、切り抜いた姿のように浮かびます。中央の二人の天使の衣、下へ流れる髪、外側へ斜めに開く翼の上辺。それぞれの線が、小さな範囲に動きを作っています。大きな遠近法の仕掛けを探すより、近づいて一つずつ見るための絵です。
制作背景
所蔵館は1450年代半ば頃と推定し、銘文に名のある修道女フェリシティの私的な祈りのための作品と説明しています。戦いの記念画や大聖堂の壁画とは、見る人との距離がまったく違います。ウッチェロを遠近法の実験だけで理解しないためにも、大切な一作です。
出典・画像について
画像:Paolo Uccello《磔刑の三連画》/磔刑の三連画 — Paolo Uccello / The Metropolitan Museum of Art / CC0 1.0
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